専門医への紹介のタイミング
- 血清ナトリウム濃度120mEq/L以下
- 低ナトリウム血症による中枢神経症状が認められる
- 明らかな症状が認められないものの、低ナトリウム血症(<135mEq/L)が持続する
SIADHの重症度は、血清ナトリウム濃度低下の程度やその持続時間、低ナトリウム血症による中枢神経症状によって判断されます。
さらに詳しく低ナトリウム血症の症状
血清ナトリウム濃度120mEq/L以下では、低ナトリウム血症による症状が出現する可能性が高くなり、また、低ナトリウム血症による中枢神経症状がある場合は、脳細胞への障害が考えられるため一刻も早い治療が必要です。しかしながら、血清ナトリウム濃度の急激な補正は浸透圧性脱髄症候群(osmotic demyelination syndrome:ODS)を起こすおそれがあります。そのため、血清ナトリウム濃度の補正に高張食塩水の点滴投与やフロセミドの静脈注射といった治療を必要とする場合は、内分泌専門医への相談が望ましいと考えられます。
また、一見無症状の低ナトリウム血症でも、注意力の低下や転倒、ふらつきのリスクが高くなり1)、患者のADLやQOLを低下させる原因にもなります。低ナトリウム血症が持続する場合は、原因を明らかにした上で適切な治療が必要になるため、内分泌専門医への相談が望ましいと考えられます。
- 1)Renneboog, B. et al.: Am J Med. 2006; 119(1) :e1-e8.
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柴垣有吾. 監修/深川雅史. 体液電解質異常と輸液 改訂3版. 中外医学社;2019. P58.