SIADHとは/SIADHの原因

異所性バソプレシン(AVP)産生腫瘍

異所性にAVPを産生する腫瘍には、肺癌、膵癌、胸線腫、前立腺癌などが挙げられます。その多くは肺癌であり、特に肺小細胞癌は異所性AVP産生腫瘍として最も頻度が高いとされています。そのほか膵癌などの未分化癌でもみられます。肺小細胞癌と診断された350例のうち40例(11%)がSIADHを起因とする低ナトリウム血症であったとする報告や1)、103例の肺小細胞癌患者のうち22人(23%)でSIADHが認められたとの報告があります2)

異所性AVP産生腫瘍では、腫瘍細胞自身が異所性にAVPを産生するため、血漿AVP濃度が著しく高く、顕著な低ナトリウム血症を認めます。厳密な診断には免疫組織化学などの手法による腫瘍組織でのAVP産生亢進を証明する必要がありますが、実際の臨床では必ずしも組織学的な評価がされているとはいえません。異所性AVP産生腫瘍が疑われる場合、腫瘍への治療介入により縮小効果が認められれば、SIADHの改善も期待できます。

  1. 1)List AF, et al.: J Clin Oncol., 4(8): 1191-1198, 1986
  2. 2)Maurer LH, et al.: Cancer Treat Rep., 67(11): 971-976, 1983

石川三衛 日本臨床69suppl.2: 706-710, 2011
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松浦友一 日腎会誌54(7): 1016-1022, 2012

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