治療について/SIADHの治療

「SIADHの診断と治療の手引き」におけるSIADHの治療

「SIADHの診断と治療の手引き(平成30年度改訂)」では、SIADHに対して、原疾患の治療、水分制限、塩分投与、3%食塩水(高張食塩水)の点滴投与、薬物治療といった治療法が示され(表1)、「いずれか(組み合わせも含む)の治療法を選択する」としています。なかでも、水分制限はSIADHの治療の基本となります。SIADHの原疾患が明らかな場合は、原疾患の治療を行います。血清ナトリウム濃度120mEq/L以下で中枢神経系症状を伴うなど、速やかな治療を必要とする急性期の場合は3%食塩水を点滴投与します。緩徐な治療が求められる慢性期の場合は、水分制限に加えて塩分投与を行います(図1)。異所性バソプレシン(AVP)産生腫瘍を原因とし、既存の治療で効果不十分な場合はバソプレシンV2受容体拮抗薬モザバプタン塩酸塩錠(30mg)による治療を行います。

表1 SIADHの治療 ※表中のテキストリンク(青字)をクリックいただくと詳細説明ページをご覧いただけます。
次のいずれか(組み合わせも含む)の治療法を選択する。
  1. 原疾患の治療を行う
  2. 1日の総水分摂取量を体重1kg当り15〜20mLに制限する。
  3. 食塩を経口的に投与する[例:食塩9g/分3/日(成人の場合)]。
  4. 血清ナトリウム濃度が120mEq/L以下で中枢神経系症状を伴うなど速やかな治療を必要とする場合は、3%食塩水を点滴にて投与する。また、フロセミドの静脈内注射も適宜併用する。重篤な中枢神経症状がある場合は3%食塩水の急速投与も考慮する[例:3%食塩水100mL/10分(成人の場合)]。いずれの場合も、浸透圧性脱髄症候群の出現を防止するために血清ナトリウム濃度を頻回に測定し、血清ナトリウム濃度上昇を24時間で10mEq/L以下、48時間では18mEq/L以下とする。
    また、血清ナトリウム濃度が120mEq/Lに達するか、低ナトリウム血症に伴う神経症状(意識障害)が改善した時点で3%食塩水の投与は中止する。補正前の血清ナトリウム濃度が110mEq/Lを下回る低ナトリウム血症、あるいは低カリウム血症、低栄養、アルコール中毒、肝障害などの危険因子を伴う場合は、より緩やかに血清ナトリウム濃度を補正する。
  5. 血清ナトリウム濃度の上昇が、24時間で10mEq/L、48時間で18mEq/Lを超えた場合は、3%食塩水の投与を速やかに中止する。また、5%ブドウ糖液の投与等によって血清ナトリウム濃度を再度低下させることを検討する。
  6. 異所性バソプレシン産生腫瘍に原因し、既存の治療で効果不十分な場合に限り、成人にはバソプレシンV2受容体拮抗薬モザバプタン塩酸塩錠(30mg)を1日1回1錠食後に経口投与する。投与開始3日間で有効性が認められた場合に限り、引き続き7日間まで継続投与することができる。

厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業「間脳下垂体機能障害に関する調査研究」班 編 日本内分泌学会雑誌 95(Suppl), 18-20, 2019

図1 SIADHにおける血清ナトリウム濃度別の治療
慢性期
急性期

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SIADHの診断と治療の手引き(平成30年度改訂)
有馬 寛 今日の臨床サポートp5

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