診断について/SIADHの診断基準

尿浸透圧

「SIADHの診断と治療の手引き(平成30年度改訂)」では、診断基準の検査所見の1つに「尿浸透圧は100mOsm/kgを上回る」を挙げています。

体内の水バランスは、口渇感による水の摂取と抗利尿ホルモン(ADH)による水の排泄量調整によって保たれています。SIADHではADHの不適切な分泌により、腎臓での水の再吸収が亢進して尿が濃縮され、尿浸透圧が上昇します。

糸球体で濾過された原尿の浸透圧は血漿浸透圧とほぼ等しく、その後ヘンレループ下行脚での水の再吸収により浸透圧が一旦上昇し、上行脚での溶質(ナトリウムやカリウム)の再吸収により、遠位尿細管での尿浸透圧は約50〜100mOsm/kgまで希釈されます。その後、集合管でのADHの作用がなければ尿は希釈されたまま、尿浸透圧約50〜100mOsm/kgの最終尿となります。一方、ADHの作用により集合管で水が再吸収されることで尿が濃縮され、尿浸透圧は上昇します。SIADHでは、低浸透圧血症に相応するADHの分泌抑制が認められないことから、尿浸透圧100mOsm/kg未満の最大希釈尿にはならないと考えられるため、診断基準の1つとして「尿浸透圧は100mOsm/kgを上回る」が示されています。

低ナトリウム血症が確認されれば尿浸透圧も同時に測定します。尿浸透圧の評価は畜尿が基本となります。測定結果が直ちに得られない場合は、次の推定式から簡易的に求められますが、正確な測定値で判断します。

尿浸透圧(mOsm/kg)=  2×[尿中ナトリウム濃度(mEq/L)+尿中カリウム濃度(mEq/L)]+BUN(mg/dL)/2.8

BUN(blood urea nitrogen:尿素窒素)

厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業「間脳下垂体機能障害に関する調査研究」班 編 日本内分泌学会雑誌 95(Suppl), 18-20, 2019
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塚本雄介 専門医のための水電解質異常 診断と治療 東京医学社 2020 p100
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