SIADHの原因
SIADHを引き起こす疾患は多彩ですが、①異所性バソプレシン(AVP)産生腫瘍、あるいは②下垂体後葉由来のAVP分泌亢進に分類されます(表1)。下垂体後葉のAVP分泌を亢進させる疾患には中枢神経系疾患や、肺炎などの肺疾患があります。また、薬剤によりAVPの分泌が亢進することもあります。
入院患者のうち、SIADHと診断された555例の原因について後ろ向きに解析した調査では、特発性が15.9%、薬剤性が26.5%、肺疾患が12.3%、中枢神経系疾患が7.2%、悪性疾患が27.7%、疼痛や嘔気由来が10.4%であったとされています1,2)。
中枢神経系疾患 | 髄膜炎 脳炎 頭部外傷 くも膜下出血 脳梗塞・脳出血 脳腫瘍 ギラン・バレー症候群 |
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肺疾患 | 肺腫瘍 肺炎 肺結核 肺アスペルギルス症 気管支喘息 陽圧呼吸 |
異所性バソプレシン産生腫瘍 | 肺小細胞癌 膵癌 |
薬剤 | ビンクリスチン クロフィブレート カルバマゼピン アミトリプチン イミプラミン SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬) |
監修/有馬 寛. 間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版. 日本内分泌学会雑誌;2023. P21-23.
- 1)盛田幸司: 内科. 2019 ; 124(6) : 2445-2448.
- 2)Shepshelovich, D. et al.: Eur J Intern Med. 2015 ; 26(10) : 819-824.
有馬寛 : 日内会誌. 2014;103(4) : 849-854.
監修/有馬 寛. 間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版. 日本内分泌学会雑誌;2023. P21-23.