診断について/SIADHの診断基準

間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドラインにおけるSIADHの診断基準

厚生労働省の間脳下垂体機能障害に関する調査研究班による「間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版」には、SIADHの診断と治療の手引きが含まれており、その中でSIADHの診断基準が示されています(表1)。主症候として脱水を認めないこと、そして血清ナトリウム濃度や血漿浸透圧の低下にもかかわらず血漿バソプレシン濃度の抑制が認められないこと、尿浸透圧>100mOsm/kg、尿中ナトリウム濃度≧20mEq/Lなどで診断されます。

また、同手引きにはSIADHの参考所見も示されています(表2)。低ナトリウム血症の症状を有していることやSIADHの原因として挙げられた疾患の診断が参考になること、血漿レニン活性や血清尿酸値の低下などが参考所見として挙げられています。

表1 SIADHの診断基準 ※表中のテキストリンク(青字)をクリックいただくと詳細説明ページをご覧いただけます。
I . 主症候 脱水の所見を認めない。
II . 検査所見
  1. 血清ナトリウム濃度は135mEq/Lを下回る。
  2. 血漿浸透圧は280mOsm/kgを下回る。
  3. 低ナトリウム血症、低浸透圧血症にもかかわらず、血漿バソプレシン濃度が抑制されていない。
  4. 尿浸透圧は100mOsm/kgを上回る。
  5. 尿中ナトリウム濃度は20mEq/L以上である。
  6. 腎機能正常。
  7. 副腎皮質機能正常。
  8. 甲状腺機能正常。
確実例:I および II のすべてを満たすもの。

監修/有馬 寛. 間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版. 日本内分泌学会雑誌;2023. P21-23.

表2 SIADHの参考所見
  1. 倦怠感、食欲低下、意識障害などの低ナトリウム血症の症状を呈することがある。
  2. 原疾患の診断が確定していることが診断上の参考となる。さらに詳しくSIADHの原因
  3. 血漿レニン活性は5ng/mL/h以下であることが多い。
  4. 血清尿酸値は5mg/dL以下であることが多い。
  5. 水分摂取を制限すると脱水が進行することなく低ナトリウム血症が改善する。

監修/有馬 寛. 間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版. 日本内分泌学会雑誌;2023. P21-23.

監修/有馬 寛. 間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版. 日本内分泌学会雑誌;2023. P21-23.

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