尿中ナトリウム濃度
「間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版」では、診断基準の検査所見の1つに「尿中ナトリウム濃度は20mEq/L以上である」を挙げています。
SIADHは、抗利尿ホルモン(ADH)の不適切な分泌により水利尿不全を呈しますが、代償機構が働いて水利尿が部分的に回復します。それと同時にナトリウム利尿ペプチドの分泌亢進やレニン-アンジオテンシン-アルドステロン(RAA)系の抑制によりナトリウム利尿も進みます。その結果SIADHは、最終的に体液(細胞外液)量が軽度増加した低ナトリウム血症となりますが、わずかな体液(細胞外液)量の増加から、ナトリウム利尿ペプチドの分泌亢進やRAA系の抑制が継続し、ナトリウム利尿が亢進して比較的高値の尿中ナトリウム濃度を呈すると考えられます。
尿中ナトリウム濃度の評価は畜尿が基本ですが、随時尿で尿中ナトリウム濃度を評価する際はクレアチニン(mEq/gCr)で補正します。
監修/有馬 寛. 間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版. 日本内分泌学会雑誌;2023. P21-23.
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