診断について/SIADHの診断基準

体液(細胞外液)量

「SIADHの診断と治療の手引き(平成30年度改訂)」では、診断基準の主症候として脱水を認めないこととしています。

SIADHは、基本的に体内のナトリウムバランスを調節するレニン-アンジオテンシン-アルドステロン(RAA)系やナトリウム利尿ペプチド系に異常はないため、体液(細胞外液)量は正常から軽度増加の状態で維持されます。体液(細胞外液)量がほぼ正常の低ナトリウム血症のなかでは、SIADHは代表的な疾患になります。

SIADHの診断は除外診断で進めますが、はじめに脱水などの体液(細胞外液)量の異常を呈する病態や疾患を除外します。脱水の主な身体所見、検査所見を下記表に示します(表3)。

表3 脱水の所見
身体所見 皮膚ツルゴール低下、口腔粘膜乾燥、舌乾燥(縦皺)、腋下乾燥、眼球陥没、爪の毛細管再充満時間延長(成人:>2〜3秒、高齢者:>4秒)
バイタル 体重減少(体重の3%以上)、脈拍増加、血圧低下、起立性低血圧
検査所見 尿所見 尿量低下(<500mL/日)、尿比重上昇(>1,020)、FE UN<35%、尿Cl低下
血液検査 血清アルブミン上昇、ヘマトクリット値上昇、尿素窒素(BUN)/クレアチニン比の増加、ANP・BNP低下
循環動態 下大静脈径虚脱、中心静脈圧5cm H2O未満

山口秀樹, 中里雅光 日内会誌105(4): 667-675, 2016 / 柴垣有吾 著 深川雅史 監修 体液電解質異常と輸液 改訂3版 中外医学社2019 p35-38 / 今井圓裕, 丸山彰一編著 腎臓内科レジデントマニュアル改訂第8版 診断と治療社2019より作成

厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業「間脳下垂体機能障害に関する調査研究」班 編 日本内分泌学会雑誌 95(Suppl), 18-20, 2019
柴垣有吾 著 深川雅史 監修 体液電解質異常と輸液 改訂3版 中外医学社 2019 p70

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