低ナトリウム血症の急速補正
重症の低ナトリウム血症では、患者の症状や状態などから低ナトリウム血症による脳浮腫のリスクと、血清ナトリウム濃度補正によるODSのリスクのどちらが上回るかを考え、血清ナトリウム濃度の補正スピードを調整する必要があります。血清ナトリウム濃度125mEq/L以下で、昏睡や異常呼吸、瞳孔異常などの頭蓋内圧亢進症状が認められる場合は、脳浮腫から脳ヘルニアへと進行するリスクが高く、ODS発症のリスクを上回るため、血清ナトリウム濃度の急速補正を行います。
急速補正の方法としては、3%食塩水100mLを急速静注し、血清ナトリウム濃度を2〜3mEq/L上昇させます。意識の回復や症状の改善が認められなければ、30分おきに同様の急速静注を3回まで繰り返します。数時間以内に血清ナトリウム濃度を4〜6mEq/L上昇させた後は急速補正をやめ、24時間以内の血清ナトリウム濃度の上昇が10mEq/Lを超えないように3%食塩水の点滴静注で補正を続けます。24時間以内に血清ナトリウム濃度12mEq/Lを超える上昇がみられた場合は、急速補正や3%食塩水の投与を速やかに中止し、5%ブドウ糖液の投与などによって血清ナトリウム濃度を再度低下させることを検討します。
柴垣有吾. 監修/深川雅史. 体液電解質異常と輸液 改訂3版. 中外医学社;2019. P65.
塚本雄介 :専門医のための水電解質異常 診断と治療. 東京医学社 ; 2020. P63.
以下のリンクは大塚製薬のサイトから外部サイトに移動します。
https://www.nagoya-endo.com/%E5%86%85%E5%88%86%E6%B3%8C%E3%81%AE%E3%81%82%E3%82%8C%E3%81%93%E3%82%8C/siadh%E3%81%AE%E8%A8%BA%E6%96%AD%E3%81%A8%E6%B2%BB%E7%99%82/