診断について/SIADHの鑑別診断

体液(細胞外液)量の減少する低ナトリウム血症
利尿薬の使用

薬剤による低ナトリウム血症のうち、利尿薬による低ナトリウム血症は最も多く認められるとされています。特にサイアザイド系利尿薬はループ利尿薬と比較して低ナトリウム血症をきたす頻度が10倍高く、使用開始から約2週間以内に発症することが多いとの報告もあります1,2)

サイアザイド系利尿薬は、皮質に位置する遠位尿細管に作用するため、尿濃縮には影響せず、尿希釈能を障害することから、水よりもナトリウムの喪失が上回り、低ナトリウム血症をきたしやすいとされます。また、多飲傾向となることも影響していると考えられます。特に高齢、女性、低体重、減塩食摂取が、薬剤性低ナトリウム血症のリスク因子としてあげられています1)
利尿薬服用患者の低ナトリウム血症では、利尿薬が原因である可能性を考慮します。

また、SIADHと似た所見を示す病態として、鉱質コルチコイド反応性低ナトリウム血症(mineralocorticoid responsive hyponatremia of the elderly: MRHE)が日本の研究者によって提唱されています3)。MRHEは、加齢に伴う腎ナトリウム保持能の減退を起因として、アルドステロンに対する反応性も低下することで軽度の体液(細胞外液)量減少と低ナトリウム血症を呈する病態です。代償的に抗利尿ホルモン(ADH)の分泌が亢進するため低ナトリウム血症が助長されます。

  1. 1)富永直人ほか 日腎会誌54(7): 991-998, 2012
  2. 2)Byatt CM, et al. J R Soc Med 83:704-708, 1990
  3. 3)Ishikawa S, et al. J Clin Endocriol Metab86(4): 1665-1671, 2001

小松康宏 Fluid Management Renaissance 3(1): 34-39, 2013
富永直人ほか 日腎会誌54(7): 991-998, 2012
Jinzou.net https://www.jinzou.net/01/pro/sentan/vol_32/ch01.html
山口秀樹, 中里雅光 日内会誌105(4): 667-675, 2016
有馬 寛 日内会誌103(4): 849-854,2014
石川三衛 Fluid Management Renaissance 3(1): 46-51,2013

次のページ:体液(細胞外液)量のほぼ正常な低ナトリウム血症:続発性副腎皮質機能低下症(下垂体前葉機能低下症)