低ナトリウム血症とは

低ナトリウム血症の診断

一般的に、血清ナトリウム濃度の正常値は136〜143mEq/Lとされ1)、135mEq/L未満は低ナトリウム血症と定義されます。低ナトリウム血症の鑑別診断では、細胞外液(体液)の評価とともに、血漿浸透圧、尿浸透圧、尿中ナトリウム濃度などの測定が重要になります。

はじめに血漿浸透圧を確認し、高血糖、グリセオールやマンニトール製剤使用などの高張性低ナトリウム血症を除外します(図2)。さらに、脂質異常症や異常蛋白血症(Paraproteinemia)などがある場合は偽性低ナトリウム血症の可能性を考慮します。

そして、細胞外液(体液)や尿中ナトリウム濃度、尿浸透圧から大まかな鑑別診断を行います。病態の把握に重要な細胞外液(体液)の評価は、問診や患者の身体所見、検査所見などを基に行います(表2)。明らかな脱水があれば体液減少、明らかな浮腫が認められれば体液過剰と判断可能ですが、軽度の細胞外液の変化は判断するのが難しいケースも多くあります。そのため、臨床経過やさまざまな身体所見、エコーによる下大静脈径の測定、場合によっては輸液負荷に対する反応などからも判断していきます。

図2 低ナトリウム血症をきたす疾患の鑑別

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表2 細胞外液量を推定する所見
  細胞外液量減少 細胞外液量増加
身体所見 皮膚ツルゴール低下
口腔粘膜・舌乾燥(縦皺)
腋下乾燥
眼球陥没
爪の毛細管再充満時間延長
(成人:>2〜3秒、高齢者:>4秒)
頸静脈虚脱
四肢の浮腫
腹水、胸水
頸静脈怒張
バイタル    
 体重 減少(体重の3%以上) 増加
 血圧 低下 上昇
 起立性低血圧 あり なし
 脈拍数 増加 正常
検査所見    
 ヘマトクリット値 上昇 低下
 血中BUN、クレアチニン値 上昇 低下
 ANP・BNP 低下 上昇
 下大静脈径 虚脱 拡張
 中心静脈圧(CVP) 5cm H2O未満 15cm H2O以上

山口秀樹, 中里雅光 日内会誌105(4): 667-675, 2016 / 柴垣有吾 著 深川雅史 監修 体液電解質異常と輸液 改訂3版 中外医学社2019 p35-38 / 加藤哲夫 日内会誌95(5): 13-17, 2006より作成

  1. 1)塚本雄介 専門医のための水電解質異常 診断と治療 東京医学社 2020 p58

山口秀樹, 中里雅光 日内会誌105(4): 667-675, 2016
柴垣有吾 著 深川雅史 監修 体液電解質異常と輸液 改訂3版 中外医学社 2019 p49-53
門川俊明 月刊薬事59(5), 889-893, 2017
塚本雄介 専門医のための水電解質異常 診断と治療 東京医学社 2020 p58-68

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