中枢神経系疾患
SIADHをきたす中枢神経系疾患には脳炎や脳梗塞・脳出血、脳腫瘍、頭部外傷などがあります。なかでも、髄膜炎やくも膜下出血、脳梗塞などの髄膜刺激を伴う疾患は、SIADHの原因となる頻度が高いとされています。バソプレシン(AVP)分泌調節にかかわる浸透圧受容体が存在する第3脳室周辺の組織に何らかの障害や刺激が及ぶことで下垂体後葉からAVPの過剰分泌が起こると考えられます。また、下垂体付近の脳腫瘍の場合は機械的な圧迫によりAVPの分泌が亢進することがあります。
入院症例のうちSIADHと診断された550例の原因調査では、中枢神経系疾患由来のSIADHは7.2%であり、頻度としては高くありませんが、その他を原因とするSIADHよりも重篤で高張食塩水の点滴治療まで要する例が多かったとの報告があります1,2)。
- 1)盛田幸司: 内科. 2019 ; 124(6) : 2445-2448.
- 2)Shepshelovich, D. et al.: Eur J Intern Med. 2015 ; 26(10) : 819-824.
有馬寛 : 日内会誌. 2014;103(4) : 849-854.
石川三衛 : Fluid Management Renaissance. 2013 ; 3(1). 46-51.