診断について/SIADHの診断基準

血漿浸透圧

「間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版」では、診断基準の検査所見の1つに「血漿浸透圧は280mOsm/kgを下回る」を挙げています。

血漿浸透圧を構成するのはナトリウムやブドウ糖などの溶質であるため、低ナトリウム血症ではいくつかの例外を除き、血漿浸透圧が低下します。例外は、高血糖やマンニトールによる高張性低ナトリウム血症と、脂質異常症や異常蛋白血症(Paraproteinemia)などによる等張性低ナトリウム血症(偽性低ナトリウム血症)です。SIADHはこの例外にはあたらず、多くの低ナトリウム血症と同様、血漿浸透圧280mOsm/kg未満の低張性低ナトリウム血症を呈します。

低ナトリウム血症が確認されれば血漿浸透圧も同時に測定します。測定結果が直ちに得られない場合は、次の推定式から簡易的に求められますが、正確な測定値で判断します。

血漿浸透圧(mOsm/kg)=  2×血清ナトリウム濃度(mEq/L)+グルコース(mg/dL)/18+BUN(mg/dL)/2.8

BUN(blood urea nitrogen:尿素窒素)

監修/有馬 寛. 間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版. 日本内分泌学会雑誌;2023. P21-23.
柴垣有吾. 監修/深川雅史. 体液電解質異常と輸液 改訂3版. 中外医学社;2019. P9, 12, 50-52.
塚本雄介. 専門医のための水電解質異常 診断と治療. 東京医学社 ; 2020. P10-11, 58-59.

次のページ:血漿バソプレシン濃度