診断について/SIADHの診断基準

血清ナトリウム濃度

「間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版」では、診断基準の検査所見の1つに「血清ナトリウム濃度は135mEq/Lを下回る」を挙げています。

SIADHは、抗利尿ホルモン(ADH)の不適切な分泌により腎集合管のV2受容体を介して水の再吸収が亢進して水利尿不全を呈します。その結果、体液が貯留して希釈性の低ナトリウム血症をきたしますが、代償機構により水利尿が部分的に回復して最終的に体液(細胞外液)量ほぼ正常の低ナトリウム血症となります。

高血糖の状態や、グリセオール、マンニトールといった高張液を投与した場合は、細胞内から血管内に水が移動して血清ナトリウム濃度が低下します。血糖値400mg/dL未満の場合、血糖値が100mg/dL増加するごとに血清ナトリウム濃度が1.6mEq/L低下します。血糖値400mg/dL以上の場合は、血糖値が100mg/dL増加するごとに血清ナトリウム濃度がおよそ2.4mEq/L低下するため、測定した血清ナトリウム濃度を補正して判断します。

監修/有馬 寛. 間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン2023年版. 日本内分泌学会雑誌;2023. P21-23.
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